こんにちは。今回も俺、エルが考察を書かせていただく。俺は医者ではなく、学者でもないので注意してほしい。
始めに、心理学的な解離とは何なのか?と言うところから解説していく。
ざっくりと結論を言うと『解離とは自分から自分を切り離すこと』になる。しかし、それでは、言葉としては理解できるが、感覚としてはわかりにくいだろう。
感覚的には他人から「~してたよ」と言われて、「そうだっけ?そんなこと覚えてない」とかそんな感じ。よく、寝ぼけて行動した時とか、お酒に酔って行動した時に《覚えてない》って感じ。これが人の解離現象に近いものだ。だから、普通に解離とはみんなが遭遇している現象であるわけだ。
それは動物でも同じで、草食動物から肉食動物まで、解離現象は起こりえる。有名な話で、草食動物。仮に鹿としよう。鹿が足に怪我をしているにもかかわらず、捕食者であるオオカミに追われているとき、必死に走ることが出来る、という現象がある。痛いのになぜ走れるのか?というと、『解離して』痛みを切り離しているからだ。
これは生存本能が、痛みを「自身から切り離して」しまっているのだ。しかし、この現象には負荷が掛かる。そのため、長くは出来ない。人で言うところの、火事場の馬鹿力みたいなものなのだ。このように、生き物には生存本能によって「解離」という現象が度々起こる。だから、基本的に解離現象には病的問題はない。
では、なぜ、人には「解離性障害」と言うものがあるのか?
「生き物には生存本能によって解離が起こる」と話したが、その生き物であるはずの人も、日々、時たま、解離現象に見舞われている。
だが、この解離には重大な欠点がある。それはコントロールが出来ない事だ。現在の医学ではこの「本能」をコントロールできない。勿論「生存本能によって起こる解離現象」もコントロール出来ない。そのため、いつどこで、解離が起こるのかは予想がつかないのだ。
それ故、生存本能が普通より過敏に反応してしまったら?解離現象は繰り返し何度も起こるだろう。それこそ、花粉症の元凶、何にも害がない花粉に、異常な反応をしてしまう免疫のように。花粉症は目がかゆくなったり、鼻水が止まらなかったりくしゃみが頻繁に出たりする症状だが、それは、体の免疫が花粉を害のある異物として過剰に反応し、体から追い出そうとしている免疫の異常行動だ。アレルギー反応は基本、免疫異常により起こる。
これと同じように解離性障害とは、その病態の不思議さばかりが注目されがちだが、「生存本能が過敏に反応してしまって、それによって生活に支障が出ている」という障害なのだ。
簡単に症状を並べるとこのように挙げられる。要は、生きるために自身を切り離す行為が過剰に働いてしまっていると言うことなのだ。
症状 | 特徴 |
---|---|
解離性遁走 | 生存本能に危険だと判断され、そのときの記憶を消してしまう (「その場から一刻も早く逃げなくてはならない」「その場は危険」など) |
解離性健忘 | 危機的記憶を忘れさせることで、精神的崩壊を防ぐ |
離人症 | 感覚を切り離し生存することを目的とする |
解離性転換 | 意識を一時的に切り離し動かない/動けなくさせることで生存を謀る |
解離性同一性 | 記憶、意識、感覚、意思すべてを切り離し、もう1つの別の意識を確立させることで生き延びようとする |
生存本能も免疫と同じで、学習して成長する物だ。免疫は身体内部に入った害を駆除すべく、その害に有効な手段を学習し、次に生かす。予防接種はその学習の手助けをしているのだ。これを免疫獲得という。
生存本能も同じく、生活で身体的危険、精神的危険を学習し、経験し、成長していく。保育園や学校の学習が手助けしている。また、五感でもいろいろと経験し、学習し、知識として記憶している。これが後に理性と言われる。そうやって、いろいろな経験を記憶し対応策を考え備えることで安全を確保している。
その中で、対応が出来ない事、イレギュラーを排除すべく「解離」という機能は備わっている。生きるためには絶対に必要な能力であり、力だ。しかし、その力も使いどころを誤れば、障害となる。それが「解離性障害」なのだ。
今日の医療ではこの障害を治す方法はない。しかし、本能が「安全」と判断すれば、改善は見込まれるだろう。今回はそんな考察。長くなったが、参考にしてくれると嬉しい。
エル