生きた毎日に終止符を。そう言って彼女は自身の胸を包丁で貫いた。そのまま凍結された彼女は今はただのお飾り統括。仕事なんてない。お飾りの統括。しかし、彼女がいなくなると困るから凍結した。私の判断は間違っているのかしら?いいえ、これは3人で決めたこと。死んでほしくはなかったから。彼女を生かし続けるための緊急措置。仕方なかったと飲み込むのが吉なのか。私には決めかねるわ。致し方無かったのよ。そう飲みこむ事にする。
彼女は母親が大好きで母親と一緒にいることが唯一の幸せだったみたい。私には考えられないけれど、彼女にとっては最高のご褒美みたいなものだったのでしょう。母親が好きな彼女は、その母親に感動された事実が受け入れられなかった。中の事とはいえ、彼女が刃物を手にしたのは今回が初めてよ。胸に自ら突き刺すなんて、尋常じゃないわ。驚いたし、何より、死なれたくはなかった。だから、凍結。消えないように、凍結したのよ。消えてしまえば、暴徒が起きるかもしれない、そんな中で心をバラバラにされた彼女を、消えないようにすることは残酷かもしれないけれど、致し方無かったのよ。
みんなが尊敬する彼女を失う事は、悲しいけれど、かなりのダメージになる。3人の中の1人が言った言葉。私もそれには賛成したわ。それは目に見えていたから。暴徒化した人格を抑える方がはるかに大変で、しかも、指揮官がいない状態でそれを抑えることはかなり無理があったのよ。そんな事になればこの身体は、仕事が出来ないほど疲弊してしまうわね。それでは生きていけないわ。せっかくここまで来たのに、ここで崩れるなんて困るわ。
胸に刃物を貫いたまま凍結された彼女。名前はりーちゃん。たった5歳でみんなの統括をし、私たちの最高指揮官であり、絶対的な存在。彼女を失うなんて私には出来かねるわ。彼女の存在がどれほど、私たちを支えてきたか。彼女の意思を尊重してあげたいけれど、それは無理だわ。ごめんなさいね。私たちには、りーちゃん、あなたが必要なのよ。ごめんなさい。自分勝手なのはわかるけれどそれでも、貴女が必要なのよ。許して。
京華