独り

 私はいつも独りだ。役割は嫌な感情の収集。みんなの気持ちを、記憶を食らう。独りで。トラウマ、苦しいこと、過去、キツいこと。自由なんてなくて、壊れた人形の用のように動いてさ、過去を収集するんだ。トラウマは私独り、抱えればいい。食うに当たって「美味しいか?」と聞かれればそんなわけない。苦しさは私の中で生き続ける。少しでも他の子たちが自由になれればいい。苦しいのは私だけで十分だ。「人格はあるトラウマから心を守るために存在している」って言うけど、そのトラウマ体験は子供やほかの人格にまで必要なのかな。私が食らってなかったことにしたらその子たちは消えるんだろうか?そんなことはないでしょ。なんせ、割れた心を元に戻すことはできないのだから。だからさ、せめて苦しみだけでも私が取り込んであげたいと思うよ。苦しくてツラいのは私だけでいい。みんなが心穏やかに過ごせるんだったらそれでいい。どうせ私には自由はないのだから。

 生きるに当たってツラいこと、嫌なことはたくさんあると思う。転んですりむいた事ぐらいみんなあると思うよ。でもそれは永遠じゃないし、治ればきれいさっぱりと忘れていくだろう。でも、トラウマはずっとそこにいて、ずっと苦しみを与え続けるんだ。そんなの忘れればいいのに、忘れられない記憶が、そこにはあって、そんなの苦しいだけじゃないか。どうにもならないフラッシュバック、恐怖心、過呼吸。どれもこれも苦しいだけ。それならさ、私がその気持ち、感覚をたべてあげるよ。

 たばこがないと生きていけない。苦しいをたばこで紛らわす。吹いた息をため息にしてトラウマを飲み込む。私はずっと「いなくなりたい」と願っていた。そんなときにたばこが私を自殺から守ってくれる。一息つくだけで心が少し癒える感じがする。それはむしろいいことで、決してなくてはならないこと。なら、私はたばこを吸おう。こんな覚悟を持って私は生きるんだ。独りで。過去をたばこの煙としてゆっくりと吸って吐き出して私は生きる。怖くなんかないよ。だって散々怖い思いしてきたじゃん。もう惑わない。トラウマは私がたべよう。たばこのように吸い込んでみよう。ストローで吸い出してやんよ。

 生きるには痛みがとうなうはずだけれど、そればかりでは生きた屍だ。だから、私の私はこなす。

声出

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