『最上位トップ層部稼働状態』

【昨日、朝からパニックになっていた。それは認めよう。理由は現実だと思っていた夢から目覚めた時、人格以外、誰もなく。まるでアニメから出てきたような感覚を、かがりが持っていたことだ。グランディングという、『いま、ここに。いる』という自己確認作業をエル、かがりが全力でしていた。しかし、状態は治らず、致し方く、薬に頼った。仕方なかったと言えばそう言える。しかし、我ら上層部はそこには触れなかった。まだ、エルと潤がいるのでな。問題はないと、思っていた。】

 改めてこれを書いたのは多分、最上位トップ層の【感覚層】の管轄者、一条 色なんだろうと文面から解釈したわけだけれど。
 普段書かない彼が書いた、ということはかなり、切羽詰まった状況であった事はご理解いただきたい。私は最上位トップ層の一端を担う、第二層【機能層】の管轄者、小鳥遊京華。

 この文からして、同格の最上位トップ層の話を触れて置こうと思い、今書いている。まぁ、私の気休めよ。

 さて、私達、再構成日記は今年に大きな内界変動があった。それは当時まだ名も無き、過負荷のダム。現在の第三層【感情層】にて、過負荷のダムの管理者、渚月によってダムの決壊が示唆された事により起きた。ダムはトラウマの放置場所。そこが溢れると、『何が起きるかわからない』

 溢れそうな時の対処は2つ。1つ目は渚月自身が危険行為で水を一旦ストップさせる方法。ストレス発散みたいな感じ。2つ目は自動操縦という、完全人形化するという、とんでもない状態にすること。

 ちなみにダムの水の排出はしていたが、過負荷が多くて、ダムが溢れそうという、渚月の警報だった。

 渚月の危険行為はタグが外れている。下手すると、健まで切り裂いてしまう。エルが毎回処置しているが、前回は白い筋を見たと報告があり、もう既に渚月のリスカで親指が痺れていたこの体に取ってかなりのリスクがある。

 二つ目の人形化はもっとえぐい。《言われないと何もしない》瞬きすら、許可制。足を崩したり、歩いたり、声を発することすら、許可がないとしない。ひたすらロボットのように、お人形のように、有るだけ、になる。もちろん、負荷は大きく、揺り返しが、また、渚月のダムに波となってくる。

 そんな負荷の連鎖を安全に断ち切るため、1月、渚月から新しい人格が誕生した。

 それがトラウマ処理最前線、最上位トップ層【感情層】糸色 棗だ。

 彼の動きは凄まじく、安全運転だった。凝り固まったトラウマを掘り起こし、砕いて安全に処理できるようにしていった。その作業は岩を採掘機で石にしているようなもの。
しかし、その作業中、彼は完全に記憶を遮断した。

 大抵、私たちは記憶の共有はしていないか、引き継ぎを行ってから交代をする。エル君から私なら、今、どうゆう状態でコレコレこうだから、お願いしたい。等。その合間に報告書にも目を通す。写真や映像付きで外部の情報を得ているので、ある程度、記憶というか、記録の共有はされている。

 しかし、棗はトラウマ処理をする時、完全に他の人格と隔離して行った。記録が飛んでいた。今はそうではないが、1月の出てきたばかりの時はい1ヶ月近く、飛び飛びの状態だった。

 その間、彼は順調に渚月の負荷のダムの水位を下げていた。
 
 私は1度、彼のやりかけのトラウマ処理を軽く聴いた事がある。私は聴いた瞬間、とち狂った。チラッと少しだけ、彼のやりかけを聴いただけ。それでも、私は冷静さを失い、意味もなく、フラッシュバックした。どうしたらいいのか分からなくなり、助けを求めたが、わけの分からぬまま、意識が途絶えた。

 そんなトラウマ処理を棗は行って、結果、渚月のダムは安全に水位を減らし、危険行為もなく、人形化もなく、処理された。完全な処理ではない。しかし、過負荷が軽減された。

 それを経て、内界は変わった。今まで年功序列の統括1人が全て采配していた所を、階層分けし、それぞれ階層統括、管理、管轄者を置く形になった。更に今回の棗の功績は非常に重要と人格、皆で考えた。

そして、年功序列+成果主義のまるで、アメリカと日本のハイブリッドのような形になった。

 階層の管轄者は主に、
【第一階層《本能と理性の狭間》無知】
【第二階層《秩序と責務の機能保持》小鳥遊 京華】
【第三階層《五感と感覚の統治》一条 色】
【第四階層《感情とトラウマ処理》糸色 棗】
【第五階層《記憶と意味付けの辞書》人工衛星(仮名)】
【第六階層《遮断と抑圧の制御》翔太(試運転中)】
【第七階層《生存と体を生かす管理》ISH】

となる。

 各階層の統治者は全て平等であり、七人の完全合意がなくては大きな方針は決まらないという仕組みになった。

 階層は第一からだんだん重くなり、第七階層が一番重たくなる。だが、第一階層から自分の意志で出た者は『自己選択の自由と責任』を持ち、どの階層に行くか『人格本人が意志決定』を、することができる。その為、第一階層から上は、自由に行き来でき、第一階層にも自己選択で帰る事ができる。

ある意味再構成日記の人格は再構成日記内だけ『人格の人権』が出来た状態となった。

 すこし、違うが画像を見てもらえるとわかると思う。階層は普通は上から下なのだが、私達は第一階層以外は縦階層となっている。

ある意味、かなり自由度が高い内界だと思う。

 でも、その自由な人格にも、絶対の決まりがある。

再構成日記人格の掟
1.この体を何があっても傷つけない
2.外部に出た際は、子供の母親としての役割を全うし、再構成日記代表として動く事。
3.名前がある人格はこの体の責任者である。その為、主人格制度は撤廃。
4.決意と覚悟がないなら出るな。お前の言動がこの体の総意となる。

かなり厳格にこれは守って各人格は動いている。いや、動かないなら罰するのみ。自己防衛の為、危険分子は第一階層で再教育を行う。

 まぁ、今の内界はこんなところね。ある意味、一条 色が慌てていたのは、糸色 棗によるトラウマ処理の副作用的なものでしょう。正直、致し方ないわ。

小鳥遊 京華