鬱なひと時

 死にたいなんて望んじゃいないのさ。ただ、止めて欲しい、心配して欲しいだけ。自分勝手で愚かなもんさ。でもな、確認しないと怖くて仕方ないんだよ。地獄で生きる俺ら、本来なら死んでも良い存在。そんなもんに価値なんかあるかねぇ。俺は意味なんか無いと思うんだがなぁ。なぁんで、好きになっちまったんだろうなぁ?なぁんで好きになられたんだろうなぁ?死にてえなぁ。死んじまいてぇなぁ。心から望んじゃいないさ。でも、死にてえなあ。生きていたく無いだけだぁ。何もかもしたくねぇんだよ。殺したいなぁ。この体。誰か殺してくんねぇかなぁ。

 言葉が響く。鬱の曜日。何もしたく無いと、言葉が響く。きっとこれは彼の言葉。

 蓮

 彼は明るく鬱になるエル君などとは違い、暗く澱んだ雰囲気がある。私には彼の心まではわからないわ。それは、彼しか知らないことだもの。でも、言葉や雰囲気なら感じ取る事はできるわ。私だってだてに何年もここにいるわけじゃないのよ。貴方の吐き出したい気持ちぐらい吐き出させてあげるわよ。

 雰囲気は鬱そのもの。行動は希死念慮そのもの。シンプルに死にたがり。でも先ほどの文によれば心から望んではないみたいね。

 汚れた家。荒れた部屋に、彼と私がいる。布団は横にずれ、床には発泡スチロールが散乱し、ゴミはゴミの山に。澱んだ雰囲気。澱んだ空気。動かない体。いいえ、動くけど動かしたくない体。食べるものがない。気にならない。飲むものがない。気にならない。買い物なんて行けない。それすら、気にならない。服すら着替えたくない。

 音楽で動かす体。悲鳴のような、愚痴のような、言葉が右から左に流れていく。死にたいが心から聞こえてくる。外に出れば違うのかしら?いいえ厳しいだけよ。心が悲鳴をあげる。心が痛い。ああ、希死念慮がやってきた。死にたいが聞こえてきた。流されない。私は決して流されたりはしないわ。ええ、生きるつもりよ。何があっても。

 ごめんなさいね。蓮。貴方の気持ちを受けきれなくて。申し訳ないわ。それでも私は生きるってきめているの。ごめんなさいね。そこは譲れないわ。

過酷な生きる。
鬱なひと時。

京華

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