夢の中の彼
昨晩、夢を見た。
亡くなった弟が無罪の罪で捕まり、
無罪と釈放されたのに
母親や親の友達に
「あんたが誤解されるような事したから悪い」
と責められる夢だった。
私は見ているしか出来ない夢だった。
彼はどんな事を言われても
とぼけた顔して私に笑って見せた。
強い弟だった。
私達の幼少期。
五人兄弟の長女のこの体と亡くなった弟は年子だ。
そんな弟はいつからか母親から
「諸悪の根源」と断定されるようになった。
何かあれば「弟が唆したんだろう」「誑かしたんだろう」「お前のせいだ」と弟は無罪の罪を母親から着せられていた。
弟がやった証拠も確証もないのに
母親は弟が悪いと彼に罰を与えた。
覚えているのは
フローリングの上で3時間以上の正座。
見ているだけの私。
怖かった。見てられなかった。苦しかった。
「どうして?」
渦巻いていた。なんで?が繰り返し繰り返し。
別の兄弟が何かやらかしたとしても
母親は弟に「お前だろ?」と言う。
弟が否定しても「他に誰がするんだ?」と言われて黙る弟。
弟は他の兄弟を溺愛していたから、
とても仲良かったから。
とても大切にしていたと思うから。
言えなかったんだと思う。
そんな優しくて強い弟は。
13歳という歳で自宅から身を投げた。
八階に住んでいた。
そこから飛び降りた。
私は何度も飛び降りようとした事がある。
しかし、八階はとても高く
恐怖で飛べなかったのを覚えている。
大人でも怖い。
そんな高さから13歳だ。
どれだけどれだけ、弟は苦しんでいたのか。
私はそんな弟を見殺しにした。
大人となっても尚。
弟を庇う事は、夢でもできなかった。
亡くなってから15年以上。
私の中にある後悔と庇えなかった
「ごめんなさい」の言葉は
届くことはない。
渚月
