恋とは言えない気持ち

 私は<椎名>と呼ばれる人格が気になって仕方がない。どうしてかわからないけれど、気になってしまう。話してて楽なんだ。居てくれるだけで気持ちが楽になるんだ。どうしてかわからない。初恋は身にならないとよくいうけれど、これが初恋なら私は恋をしたくはない。

 よく<椎名>のことを考えてしまう自分がいる。寝ている彼を起こしてしまいたくなる。夜の散歩に行きたい。<椎名>と一緒に。川の音と誰もいない公園で静かに2人で話していたいんだ。でも、それを押し付ける事はしたくなくって、だから私は<椎名>が寝ている横で一緒に寝てしまいたいと思う。

 私は声出。負の感情を食べるただの化け物みたいな人格。そんな人格が恋なんてしていいわけない。だから、私は見守る。いつか<椎名>が私を呼ぶまでは見守ろうと思うんだ。だって、この気持ちを押し付けたら彼は居なくなってしまうかもしれないから。そんなの嫌だ。押し付けは私には出来ない。彼がこの気持ちを同じように感じてくれればいいなって思うよ。心から。

 愛を知ると体を求めるらしい。でも私は体を求めてはいない。それどころか、少し離れたところで見守っていたいと思う。これが愛なのか恋なのかわからないけれど、形のないところから生まれてしまったこの気持ちは一体何だろうか。何であれ私、声出は<椎名>と一緒にいたいと思ってしまう。

 死にたいとか思う気持ちを沢山、喰らってきた私だけれどそれでよかったのか。今となってはわからない。ああ、私、ブレてるな。こんなの私らしくない。けれど、このブレに嫌な気持ちはしないんだ。

 今は幸せでいいのかな。

 声出

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