化け物の巣窟

 俺は元第2の真。今は第1のかがりさんの、家で世話になっている。人格として生まれた俺だが、第1しかなかった当時、おれは「何が出来るの?」と第一の現統括に言われて何にも答えられなかった。おかげで、深層世界に送り込まれて、人格として認めてもらえず、荒野と砂漠を一人歩く羽目になった。空には人格として認められ内界の城に家を持たされた人格たちが動いているのが見える。むなしい気持ちだった。荒野と砂漠を歩く俺を外に出してくれたのは、第2内界の現統括の狐だった。狐は俺にただ来いと言っただけだ。自由の国、第2内界で自由に暮らしたら?と誘われて俺は行くことを選んだ。

 今思えばこの選択には間違いはなかったと俺は思う。第1の人格には悪いがおれは彼らを、「化け物」だと思っている。だってそうだろ?なんで完全記憶なんか持っているんだ?なんでそんなに医学に精通しているんだ?なんで自分の本音すらわからなくなるほどの仮面を習得している?文字に何でそんなに精通している?4ℓ飲んで平気でいられる?色彩感かはどこで習得した?自傷をなぜ平然と文具でできる?訳のわからん生きものが多すぎて見ていて気持ち悪かった。本来人格とは生かすことに特化するもんだ。だがその生かすことにそこまでの能力が必要かと問われれば否だろ。逆にそうでもしないと生きれない、この体って何だ?そんなに悲惨な過去でも、持ち合わせているのか?怖い。純粋に怖い存在へと俺の中では認識されていった。

 第1に避難している身としてはこんなこと書くのはどうかとも思うが書かせてくれ。第1に来てから俺は大分回復させてもらった。それも医学に精通している人格のおかげだ。わかっている。ありがたいとも思っている。だが、やっぱり{なんでこいつはこんなことに精通しているんだ?}という疑問はつきない。やっぱり恐怖は残る。なんでという恐怖。おぞましい恐怖。人体を知っているなら医者とか専門家ならあるだろう。しかし、彼は《人格まで手当てした》そんなこと出来るのか?人格だぜ?人間じゃないんだぜ?やっぱり怖い化け物揃いだった。ここに来なくて本当に俺はよかったと第1に逃げてきて本気で思った。

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 現在、俺は何のことだったかわからないが、第2の世界に戻ってきている。ここに来てやっとほっとした。やっぱり化け物の巣窟にいるより、今はまだ本調子ではないとはいえ、子供に囲まれていた方がらくでいい。もうあんなことはうんざりだ。きっとほかの人格たちもここに来ることがあるだろう。そのときは「お疲れ様」と声をかけてやりたい。

第2内界より真

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