鉄くずの中を歩く。あたしはゴミ人間。ゴミ収集車に乗ってここに来た。外で暴れたり、死のうとしたのが不味かったらしい。あたしはゴミ人間。いつか来る明るい未来に向かって歩くんだ。太陽が暑い。日差しが強すぎる。汗だくで歩く。あたしはゴミ人間。鉄くずをずってあるく、ゴミ人間。蜃気楼の向こうには綺麗なマンションが所狭しと並んでいる。あたしも昔はそんな所にいた。クーラーがあって、刃物があって、薬があった。あれは病院か。忘れっぽくなってる。これだからゴミ人間は良くない。がむしゃらにでも生きようとしないとあたしはすぐ死んじゃうんだから。
鉄くずの中を歩く。すぐ向こうに尖ったガラス山がある。あそこでリスカしよ。血を飲めば少しはこの乾きから解放されるかもしれない。あたしはゴミ人間。飲み物だって全力で探さないと見つけることはできない。昔とは違う。あたしはゴミ人間。記憶が、弱くなっているみたい。昔を思い出しにくくなってる。ガラス山で手首をざくざく。沢山飲んで記憶取り戻さなきゃ。血が止まるまで飲みきらなきゃ血がなくなって本当のゴミになっちゃう。あたしはゴミ人間。人からも病院からも捨てられたゴミ人間。
鉄くずの中を歩く。暑さが引いてきた。ここはコンクリートの瓦礫置き場。涼しくて居やすい。あたしはゴミ人間。すぐに倒れちゃうからしっかりと休まなきゃ。ゴミはゴミらしく、ゴミの傍らで小休憩。休憩終わったら残飯収集所に出発だ。あたしはゴミ人間。生きる価値はとうの昔になくしたゴミ人間。それでもまだ希望を捨てたくないゴミ人間。
鉄くずの中を歩く。コンクリートの瓦礫置き場の他には日陰がないから、この暑さは堪える。食べ物を探さなきゃ。生きる事を諦めたら本当のゴミになってカラスの餌食になっちゃう。カラスも鳥の中のゴミみたいなものなのかな?あたしはゴミ人間。仲間が欲しいゴミ人間。ご飯探しに残飯収集所にきた。美味しくなくってジャリジャリしてるけど、まだ食べれるまだ食べれる。あたしはゴミ人間。ゴミの中でしゃりしゃりと硬い米を食べる。あたしはゴミ人間。寝る場所はゴミの中。しゃりしゃり米を食べたらまたコンクリート置き場で寝床を作らなきゃ。途中の綿風呂に、よって行こう。沢山綿が見つかるといいな。